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2012年9月 4日 (火)

【Book】アンネ・フランク『アンネの日記』

今日の一冊は、第二次世界大戦末期にドイツ占領下のオランダで、ナチスによるユダヤ人迫害の中を生きたユダヤ人少女、アンネ・フランクが書き記した日記、「アンネの日記」です。

あまりにも有名な本ですけど、実際に読んだという人は少ないんじゃないでしょうか。




『アンネの日記 増補新訂版』
著者: アンネ・フランク
訳者: 深町眞理子
出版: 文春文庫



フランク一家は、ユダヤ人の強制収容が本格化した1942年から1944年までの2年以上もの間、父オットーが経営する会社の3階と4階に作られた隠し部屋の中で、潜伏生活を経験しました。

このとき、アンネは12歳から15歳という若さです。

彼女は日記帳の中に、「隠れ家」での生活の中で考えたこと、生活の様子、体験したことなどを、克明に赤裸々に書き残しました。

悲しいことに、結局アンネたちの隠れ家は1944年8月に突然ゲシュタポ(ドイツの秘密警察)に発見され、一家は全員逮捕、収容所送りにされます。

そしてアンネは、ポーランドの劣悪な環境の収容所で、病気により15歳の若さで命を落としました。

そして戦争終結後、一家でただ一人収容所から生還した父・オットーによって、この日記は世の中に広く出版されることになったのです。


この本を読んで一番感じたのは、意外なことに、ナチス占領下におけるユダヤ人の生活の悲惨さというより、アンネのたくましさ・賢さ・強さでした。

私は「アンネの日記」とは、幼くか弱い少女であるアンネが、自分たちにふりかかる不幸と無力さを嘆き悲しむ内容の日記だとイメージしていました。

ひたすら悲劇的なトーンに貫かれていると想像していましたが、実際読んだ印象は相当違いました。

アンネは身の回りで起こる物事を鋭く観察して、それに対する自分なりの考えを持とうとしています。

そのすごさには、「これが本当に中学生か?」と疑いたくなるほど!

特にアンネは、考えや思いを的確な言葉に落とし込む能力にものすごく秀でています。大人顔負け。

思春期特有の恋愛感情や大人への反発など、言葉にしづらい気持ちも、「ああ、わかるなあ!」という表現でつづられています。

アンネは将来、ジャーナリストや小説家になりたかったそうです。彼女が生きていたら、きっとこうした道で優れた成果を残したんじゃないかと想像してしまいます。

自分はアンネほど、世の中に対するヒリヒリとした問題意識はなかったですが、それでもちょっとした事で傷ついたり、自信過剰に陥ったり、今から考えれば浮き沈みの激しい毎日だったなあと思います。

日記を読みながら、「そうだよな、自分も10代の頃は似たこと思っていたな」と、過去に思いをはせてしまいました。


アンネは苦しい生活の中で時に落ち込むことはあっても、常に未来への前向きな展望を失わず、自分に自信を持ち、困難をユーモアで笑い飛ばします。

潜伏生活の初期こそ、自分の感情や気持ちをコントロールしたり、他人との折り合いをつけるのにとても苦労していたアンネですが、後半になると見違えるほど人間的に成熟していきます。その様子には感動すら覚えました。

そして極限生活を送るアンネたちを危険を冒してかくまい、献身的に支えたオランダ人たちの存在にも、強く胸を打たれました。

この日記は、ナチス占領下の悲劇の一断面であると同時に、人間の強さや尊厳・優しさといったものに対して希望を感じさせてくれるエピソードでもある、そう感じました。


私に子どもが生まれて以来、歴史上で数々起こってきた(そして今も起こっている)醜い争いや殺し合いは、なんで起こってしまたんだろう、どうすれば回避できたんだろう、ということにものすごく関心が出てきました。

だいぶ気の早い話ですが(^^;)、私は、自分が死ぬときには「未来は今よりも良くなるという確信(少なくとも希望)」を持っていたいと思っています。

そのためにも、ホロコーストのような過去の悲劇について、もっと知りたい、考えなくてはいけない・・・

今夜は、太郎の寝顔を見ながらそんなことを思ってます。




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コメント

アンネの日記、いいですよね!私はこの本を小学校4年生くらいの時に読み、かなりハマって自分も真似して日記をつけたりしていました。(以前紹介されていた「黒い雨」も中学生の頃に読んで、読書感想文を書いた覚えがあります。今も手元にあるのでまた読み直したいなと思います。)
アンネの日記も今また読むと、あの時とは違う読み方ができるのかもしれません…。
本当に、戦争や大量虐殺のない世の中を作っていくために、歴史から学ぶ必要がありますね。

投稿: くり子 | 2012年9月 6日 (木) 03時20分

くり子さんもアンネの日記、読んだんですか! 黒い雨もとは、奇遇ですね^^

それにしても、アンネはあまりに赤裸々なことを書いているので、
読んでいて 覗き魔になったようなバツの悪さを感じないでもなかったです(笑)

子どものころと大人になってからとでは、確かに同じ本でもまったく感想が
違うことってありますね。私はそんなに読み直しをしないですけど、夏目漱石
なんかは深いなあと感じ入るところがありました。

投稿: ネリノ | 2012年9月 6日 (木) 23時45分

夏目漱石は深いです!!
ネリノさんも夏目漱石をお好きなんですか?!
夏目漱石は私の大好きな作家です!!
ユーモアのセンスなんかも好きで、坊ちゃんや我輩は猫辺りは、思わず声に出して笑ってしまう箇所が結構あります。
こころは、今になって読み返しても衝撃的です。

投稿: くり子 | 2012年9月 7日 (金) 03時41分

夏目漱石は、読んだ作品は少ないんですが好きです。暗い話でも、どこか
飄々としたおかしさがあったりして。
ちょっと前に読み直したのは、その「こころ」です! 昔は「暗い話だなあ。
先生、自業自得じゃん・・・」とか思ったものですが(^^; 、いまは人間の
理想と現実の間で苦しむ気持ちが、わかる気がします。

投稿: ネリノ | 2012年9月 8日 (土) 01時09分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 職務経歴書の書き方 | 2012年10月19日 (金) 01時58分

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