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2013年1月21日 (月)

【Book】仕事上の合意をとるためのヒントがいっぱい・・・『今すぐできる! ファシリテーション』

久々にビジネス書を紹介したいと思います。

ここ数年すっかりポピュラーになったビジネス用語に 「ファシリテーション」 というものがあります。知らない方のために、一応簡単な解説をしてみますね。


ファシリテーションとは、会議でなにかを決定するとき、全員の意見がきちんと話し合われ、参加者が納得いくかたちで合意を取れるようにするための、一連の取り組みのことです。

そのための技術や方法論は、専門家によって体系的にまとめられています。

ファシリテーションを行う際は、会議を主催する議長とは別に、ファシリテーターと呼ばれる役割の人を設定します。

そしてファシリテーターは、事前の準備、会議の進行の調整などを中立的な立場から行って、会議の活性化と合意形成の促進につとめます。

このとき重要なのは、参加者全員の意見がきちんと議論され、各自が納得感を持って結論を受け入れるようにすることです。

ですから単に会議を時間内に終わらせることとか、議論が盛り上がることが目的なわけではありません(それも重要なことではありますが)


ところで、なぜ最近、ファシリテーションが注目されるようになったのでしょうか。

最近の成熟した世の中では、物事の変化が激しく、ビジネスの内容も専門的かつ複雑になっています。

その結果、経験豊かなリーダーといえども、ビジネスの細部をすべて自分自身で把握することは、非常に困難になっています。

だから今の時代には、リーダーが鶴の一声で何でも決めるというやり方ではなく、関係者の意見をうまく吸い上げ、納得感のある結論を導くことが重要になってきています。

そこに、いまファシリテーションが注目されている理由があります。


というわけで、私も会社でファシリテーションの研修を受けさせられました。このテーマに関する書籍もたくさん出ていて、3冊くらい読んでみました。

その中で、サラリと読めて、なおかつとても面白かった本を紹介します。



『今すぐできる! ファシリテーション』
著者: 堀公俊
出版: PHPビジネス新書
2006年11月18日




著者の堀氏は、ファシリテーションの分野で有名な専門家です。ビジネスでのファシリテーションの実践経験が豊富で、ファシリテーションの教育・啓もう活動にも熱心に取り組まれています。

この本はタイトルのとおり、ファシリテーションの実践テクニックを、仕事上よくありそうな具体的な会議のシチュエーションを例に取りながら、やさしく解説しています。

あくまで実践を視野においているので、例が具体的でとてもわかりやすいです。

ファシリテーションの基本的な考え方ややり方もきちんと触れられているので、「ファシリテーションって何?」という人にも、十分参考になるでしょう。

人との合意形成に苦労した経験が多い方には、特に得るところが大きい一冊ではないかと思います。



実は私がこの本で一番面白いと思ったのは、狭い意味でのファシリテーション技術論ではなく、あちこちに挿入された堀氏の「ビジネス格言」のような言葉の数々です。

さすがは数々のタフな会議を成功に導いてきた堀氏だけあって、平易でありながらハッとするほど含蓄ある表現が目白押しです。会議に限らず、広く仕事一般で役立つヒントが得られると思います。

個人的に参考になった部分を引用してみます(原文を若干改編しています)



プロセス(会議のやり方)とコンテンツ(知識、情報、経験)を分けると良い。(p.17)

「そんな話聞いてないよ」とヘソを曲げる人は、話の中身に文句を言っているのではなく、それが決まったプロセスに不満があって受け入れようとしないことが多い。会議での意志決定のプロセスは、あくまでメンバーに決めさせるべし。ファシリテーターが案を示すときも、あくまで提案とし、決定はメンバーに。(p.42 - 43)

失敗や不満などのネガティブな話題の質問では、「なぜできなかったんだ」のようにWhyやWhoで聞かずに「何が成功を阻んだか」「何をすればうまくいったか」とWhatで質問するとよい。(p.99)

不思議なもので、私たちは、大きな案件ほど感情や力関係など情緒的な要素で決め、小さな案件ほど理屈やデータをこねくり回す傾向にある。本来は全く逆であるべき。(p.126)

結論だけをぶつけあっても議論は前に進まない。互いの意見の筋道(ロジック)を明らかにして、どこが一致していて、どこが一致していないかを見分けなければならない。おそらく筋道のどこかに分水嶺があるはず。(p.129)

上司が部下の提案を見るとき、一言で言えば、提案が出来上がったプロセスを確かめている。上司が提案の詳細まで部下以上に知ることは不可能なので、プロセス(本当にちゃんと考えているか)が確認できれば、提案の質はOKと判断することが多い。(p.132)

適確な板書(ファシリテーション・グラフィック)をすることで、空中戦を地上戦に落とし込める。話が煮詰まったら、書いてみること。(p.148)

議論が堂々巡りをするのは、一言で言えば互いの頭が固いから。(p.164)
しかもそういう場合、「自分と異なる意見を持つ人は、人間的にも相容れないんだ」という落とし穴に必ずはまる。(p.165)

対立があるときは、相手VS自分になっている。相手より、目的(共通の課題)に目を向けるように促す。(p.181)

実行する意思のない意思決定は意味がない。たとえば選択肢に評価項目ごとに点数づけをしていくやり方など。いかにも合理的なようで、誰も実行しなくなる恐れあり。「理屈ではそうだけど・・・」「あのときはそう言わざるを得なかったけど・・・」という言い訳のオンパレードになりかねない。「みなさん、本当にこれをやるということでいいんですよね?」を確認する。

少し引用し過ぎましたかね?(^^; 本の紹介はこのへんにしておきたいと思います。

ちなみに私は、日々の会議でファシリテーターを立てて・・・ということまではやっていません。

でも、相手の意見を引き出す工夫や、議論が紛糾したときの脱し方などで、この本に書いてあることを大いに活用させてもらっています。

 

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