カテゴリー「最近読んだ本」の33件の記事

2013年3月20日 (水)

ビートルズの曲を素直に楽しみたい私・・・『増補完全版 ビートルズ 上・下』 by ハンター・デイヴィス

のっけからこんなことを言うのもなんですが、私はビートルズがそれほど好きなわけではありません ^^;

物心ついたころには、ビートルズは既にとうに解散して伝説上の存在になっており、ジョン・レノンもこの世にいませんでした。

結成当初は大人たちが眉をひそめて見ていたビートルズですが、1960年代後半の創作活動に対する高い評価が確立していて、私が子どものころには誰もが「ビートルズはスゴい!」 と言う状況になっていました。

だけど、そうしたビートルズを讃え、神格化する言葉の数々が、私がビートルズの音楽に純粋に触れることを邪魔してきたように思います。

私はなんとなく 「ビートルズをすごくて当然。そう思わないやつはオカシイ」 というような世間のオーラを感じてしまい、純粋に楽しめないのです。

好きな曲ももちろんあるのですが、どうしても「ありがたいものを拝聴する」というような距離感を抱きながら接してしまうんです。

それは今でも基本的に変わっていません。

これはビートルズが悪いわけでも、世の中が悪いわけでも何でもなく、純粋に私自身が勝手に距離感を持っているだけなんですけどね。でもこんなのって、私だけでしょうか。



というわけで、私はビートルズのオリジナルアルバムはごく一部しか聴いていませんし、彼らの結成から解散までの出来ごとについても、あまりよく知らないんです。

ところがひょんな思いつきから、今月3日に開催された「MTVロック検定」というものを申し込んでしまいました。

せっかくいい機会なので、ビートルズについてもっと知ってみたいと思い、2009年に出たリマスターCDを全作品借りたり、本を読んだりしてみました。

前置きが長くなりましたが、その本というのがこちらです。厚い本なのでロック検までに読み終わらず、つい先日読み終えました:



『増補完全版 ビートルズ 上・下』
ハンター・デイヴィス:著
小笠原豊樹・中田耕治:訳
河出文庫
2010年7月20日初版
  


この本は、「The Only Ever Authorized Biography」 (唯一の公認伝記本)という英語の副題からわかるように、著者のハンター・デイヴィス氏がビートルズ本人や関係者の正式な許可を受けたうえで、ビートルズがまだ現役だった1968年に刊行された書籍の邦訳版です。

本文に書かれている内容は、メンバーの誕生から1967年頃までの出来ごとまで。特に、全体の実に1/3くらいがビートルズ結成前のアマチュア時代に割かれています。

正直、デビュー以前のビートルズに関しては全く知らなかったので、リヴァプール時代の悪ガキっぷりなどは新鮮で面白く読みました。

ジョンなんて、イマジンしか知らない方の中には夢見がちな草食系男子(笑)というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際かなりトンガった若者だったことがわかります。


また、正直に告白しますが、マネージャーとしてビートルズを切り盛りした男、ブライアン・エプスタインのことを、私はこの本を読むまでまったく知りませんでした(笑。よくこれでロック検定2級を受けたもんだ)

彼はそれまでやりたい放題のステージを繰り広げていたビートルズに、スーツを着させ、ステージ・マナーを守らせ、仕事のマネジメントを徹底しました。

そのようにして、ビートルズのクリーンでシュガーなイメージを前面に出し、ビートルズのより一層の成功を演出したブライアンの手腕は、さすがという感じです。

(今度、ベネディクト・カンバーバッチ主演の、ブライアンの伝記映画が公開される予定です)


そしてメジャーデビュー後、世界ツアーをしていた前半期の騒ぎがいかに壮絶だったか、この本でよくわかります。

たとえばファンが実家にやってきて勝手に家へ上がりこんだり、家の物を持って行ったりする。

メンバーはファンにもみくちゃにされて殺されそうになるわ、一歩外に出るとファンが押しかけるのでホテルに缶詰になるわ・・・。

ガール・フレンドや奥さまは、特に女性ファンからしょっちゅう脅迫状が届いたり、危害を加えられたり。

もはや集団ヒステリーとでも言えるようなすごい有り様だったようです。

ビートルズは人気絶頂のさなかの1966年を最後にライブ活動をいっさいやめ、アルバム制作に集中するようになりました。これだけ大変なことが何年も続いたら、そりゃあそういう決断になるよなあ、と深く納得しました。

これは、ビートルズがスゴかったというのもあるでしょうけど、1960年代という時代が持っていた熱気のなせるわざでしょうね。今後、おそらく二度とこんな騒ぎを世界規模で巻き起こすミュージシャンは出てこない気がします。



この本では、ビートルズの音楽的な特徴や先進性についてほとんど触れられていないし、解散間際のドロドロはいっさい書かれていません。そのへんを求める方には別の本をおすすめします。

でも、異常な熱気を持った時代をリアルタイムに記した証言として、ビートルズに関心のある人には面白く読めると思います。ちょっと分厚いですけど。

この本を読んで、彼らが人間離れした偉人でも何でもなくて、不完全で人間くさいヤツらだったんだなということが具体的にわかり、今までよりは構えずにビートルズの音楽を楽しめそうな気がしてきました。

 

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2013年3月16日 (土)

電子書籍端末 『キンドル・ペーパーホワイト(Kindle Paperwhite)』 を購入しました!

以前もブログに「欲しい!」と書いていた電子書籍リーダー、『キンドル・ペーパーホワイト(Kindle Paperwhite)』を、ついに買ってしまいました!


130316_01(本体に別売の革製カバーをつけた状態の写真です)


一応、知らない方のために紹介しますと、これはオンライン書店のアマゾンが自ら発売している、電子書籍を読むための専用端末です。

ちょっと紛らわしい話なのですが、現在アマゾンが国内で販売している「キンドル」という名の製品には、実は2系統あって、キンドル・ファイアとキンドル・ペーパーホワイトという風に分かれています。

キンドル・ファイアは、ひと言でいえば「アマゾン版iPad」(こんな説明のされ方は、アマゾンにとって屈辱かもしれませんが。笑)です。

Webを見たり、音楽を聴いたり、アプリで遊んだり、写真や動画を入れて持ち運んだり、FacebookやTwitterで交流したりと、幅広い楽しみ方ができるタッチパネル式のタブレット端末です。



これに対してキンドル・ペーパーホワイトは、いわゆる電子書籍を読むために特化した端末です。

音楽や動画には対応しておらず、アプリのインストールなども不可。Webブラウザも付いていますがβ版ということでオマケ扱い。基本的には、文字を読むための端末です。

目的を絞っているだけに、文字を読む目的にはすごく適した仕様になっています。

まず、文字を読みやすい。

キンドル・ファイアやiPadなどのディスプレイは、基本的にノートパソコン等と同じ液晶で、明るい所では読みづらく、暗いところでは眼がチカチカして、文字を凝視すると意外と目が疲れやすかったりします。

キンドル・ペーパーホワイトは、E ink という技術を使った電子ペーパーで、液晶とは少し違った表示方法を取っています。さらに、ライトの付け方を工夫してあるそうで、明るいところでも暗いところでも読みやすく、紙の書籍に近い読書感を味わえます。

またタブレット端末の場合、バッテリーも意外に食うので、長時間いじり続けていると電力が1日持たないこともあります。

でもキンドル・ペーパーホワイトの場合は、ライトの消費電力もうまく抑えてあり、余計なプログラムを動作させないため、電気の持ちが比較的いいそうです。

私は今のところタブレットにはあまり興味がなく、電子書籍が読みたいだけなので、キンドル・ペーパーホワイトはまさにうってつけ。ということで、ガマンできずに衝動買いしてしまいました。



さて、上で書いた話はアマゾンさんの宣伝文句です^^。

実際使ってみて本当にいいかどうか、今後正直にレポートしていきたいと思いますが、とり急ぎ使い始めてみての感想を書きます。

まず、眼が意外と疲れるなあ、と(笑)

E ink は液晶に比べて眼にやさしいというのは、実際その通りだと思います。でも、これまでの紙の本に比べてしまうと、やっぱり眼が疲れます。ディスプレイの明るさの設定がまずいのかな?

あと、紙の本と比べるとやっぱり読書の感覚が少し違います。私なんかは、どうも本を読んでいるというより、Webを読んでいるという感覚がしてなりません。

しかも、電子ペーパー端末ではWebブラウザと同じように、文字の表示サイズをユーザーが自由に決められるため、ページという概念がありません。表示サイズによって、本全体が何画面に収まるかが変わります。

ページ番号がない代わりに、全体の何%読んだかという表示が画面の下に出てきますが、私はどうしても、本の厚みと残りページの厚みを目を確認して、「いまこのあたりか」と認識するような読書に慣れているので、キンドルだと どうも読書とは違う経験をしているような感じがしてならないです。

ただ、こういう問題点はすべて慣れの問題な気がします。しばらく使っているうち、何とも感じなくなるのかもしれませんけどね。


ケチばっか付けててもなんなので(笑) 良かったことも書きます。

やっぱり本の置き場所が必要ないこと! 既にかなりの本を購入してしまいましたが、それが6~7インチの端末ひとつに収まってしまいます。これは、本を保存するスペースに苦労している私にはとにかく嬉しいことです。

何十冊もの本のデータを1つの端末に入れられるので、仕事で出張するときなど、新幹線の中で「あれ読んで、これ読んで」というつまみ食い読書がやり放題。

それから、文字をドラッグするだけで気になる文章にマーカーをつけることができる点も良いです。後からマーカーの箇所だけ確認できるので、読書メモが指ひとつで簡単に作れます。

あと、文字の部分を長押しするだけで、辞書を引くことができること。特に、慣れない英語の本を読むときにはどうしても辞書を引く機会が増えるので、この機能は絶大な威力を発揮します。

最後に、日本語の本も読めること(笑) 以前、スマホにキンドルリーダーのアプリを入れてみたという話を書きましたが、あのときはなぜか洋書しか読めず、日本語の書籍がダメでした。それが普通に読める。

実は私にとっては、キンドル・ペーパーホワイトを買って一番嬉しかったことはコレかもしれません(笑)



最後に、キンドル・ペーパーホワイトで表示した字の雰囲気をご紹介。こんな感じです。


130316_02


著作権の問題があるので、一部だけ表示してますが、雰囲気、わかりますかね?

ちょっと液晶画面と違う雰囲気でしょう? まさに「ペーパーホワイト」という感じで、紙っぽいです。

ちなみにいま読んでるこの本は ピアニスト・中村紘子さんの『ピアニストという蛮族がいる』 というエッセイ。文春文庫で出ている本の、電子書籍版です。

 

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2013年2月25日 (月)

『ラジオのこちら側で』 by ピーター・バラカン

皆さんは、たとえばニッポン放送なんかのおしゃべりメインのラジオ番組ではなく、FMの音楽中心のラジオ番組を熱心に聴いた経験はありますか?

私はありません(笑)

小さい頃からテレビ文化に染まってましたし、ラジオ番組をチェックするという習慣がありませんでした。

そんな私が今回読んだのは、こちらの本です:



『ラジオのこちら側で』
ピーター・バラカン:著
岩波新書
2013年1月30日




「ラジオに特別な思い入れがないくせに、なんで読んだんだ!?」 と突っ込まれそうですが(ごもっとも!)、それはピーター・バラカン氏の著作だからです。



音楽好きの方なら知らない人はいないんじゃないかと思いますが、ピーター・バラカンはイギリス出身のラジオDJ、ブロードキャスターです。

日本に住んでもうすぐ40年になろうかという彼は、大手音楽出版社である現シンコー・ミュージックに就職して日本にやってきました。

それ以来、ラジオやテレビ、出版物を通して、ロック、ブルース、ワールドミュージックを中心に、世界中のおもしろい音楽を紹介し続けてきました。

私も、ラジオ番組を聴いたことこそないものの、CSのテレビ番組などでたびたびバラカンさんの番組を見ていましたし、雑誌や本などでも彼の書いた文章をよく読んできました。

この本は、そんなバラカンさんのライフワークともいうべきラジオの音楽番組を軸にした半生記であり、音楽遍歴の記録です。バラカンさんがしゃべった内容を、他の方が文章に起こすというスタイルで書かれています。



私はラジオの熱心なリスナーでは全くありませんでしたが、だからこそ、バラカンさんが語るラジオ発信者の立場からの経験談は、未知の世界の話ばかりで興味深いです。

たとえば、ちょっと面白いなと思ったのは、NHKのラジオ番組をやっていたときの話です。

NHKでは「商品名は放送で流されない」という暗黙の了解がありました。しかし、たとえば車をテーマにした名曲を紹介する、という企画を実行するとなると、どうしても特定の商品名が歌詞やタイトルに入ってくることがあります。

いろいろ調べてみると、NHKの放送規約では、商品名を放送してはいけないとは書かれておらず、「営業広告に相当する行為」を禁じているということがわかったそうです。

それで結局、車に関する曲を紹介したとき、その中に車名などが出てくるのは、明らかに営業広告ではないとの判断から、その企画はGOとなったのだそうです。

(ただ、私の記憶が確かなら、山口百恵が紅白で「プレイバック パート2」を歌ったとき、「真っ赤なポルシェ」という歌詞を「真っ赤な車」に買えて歌わさせられたはずですが(なんかマヌケな歌詞になるなあ^^;)、あれは何だったんでしょう。バラカンさんが言っているような議論まで至らずに、慣例に従って避けたんでしょうかね)

ちなみに、CDのレーベル名を言うのは確実にNGだそうです。いやはや、公共放送は厳しいですね・・・


本文中には、あちらこちらに当時の音楽のネタやバラカンさんのおすすめ曲などが書かれていて、ラジオの興味がない人でも、音楽好きにとっては素敵な本になっています。

各章の終りには、1970年以降を10年ごとに区切りって、それぞれの10年間におけるバラカンさんの私的おすすめ10曲もあります。聞いたこともないようなワールドミュージック系の作品が取り上げられていますが、解説を見ていると聴いてみたくなってきます。

音楽好きの兄貴のよもやま話、といった感覚で楽しめる一冊だと思います。



ちなみに私は全く知らなかったんですが、バラカンさんは昨年、洋楽中心のFMラジオ番組で有名な「Inter FM」の執行役員に就任したそうです。

そして、「ラジオに魔法を取り戻す」と題したキャンペーン活動を積極的に行っているそうです。

バラカンさんは、ラジオが一時期持っていた輝きを失った理由の1つとして、良い音楽を紹介する番組が作られなくなっていること、そうしたことができる人材が育っていないということがあると言います。

そしてYoutubeや音楽配信全盛のいまの時代であっても、リスナーに近いところでそうした魅力的な情報を提供することによって、ラジオが音楽との有力な出会いの場として、再び輝くことができると考えているようです。

バラカンさんの静かでありながら熱意を秘めた語りを読んで、「この歳にしてはじめてラジオの音楽番組をまともに聴いてみるのも悪くないな」 そんな気にさせられました。

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2013年2月21日 (木)

電磁気学マンガ・挫折の理由

最近の理系大学生向けの教科書の中には、マンガで物理や数学の解説をしてくれるという本が、たくさん出ています。

私の部署に新しく加わった新人くんがいるのですが、先日、大学レベルの電磁気学を一から勉強する必要に迫られた彼は、こんな本を買ってきました:



『東大流 まんが電磁気学』
作者: 石川真之介
講談社




マ、マンガですか・・・^^;


彼は一応ちゃんと理論を身につけたいと言っていたので、「もっと普通のやさしめの教科書から始めたらいいのに」と思ってしまいました。

それでもともかく、彼はやる気をもってこの本を読み始めました。



そして終日後。



やはり彼は

早々と挫折してしまいました(苦笑)



私は雑談がてら、彼に挫折の理由を聞いてみました。

マンガだから、理論そのものの説明を一から書いてあるわけではなく、初学者にはつらかったのではないか、と。

すると彼は「それもあるんスけど、もっとほかに理由があるんです」と言います。

彼が言うには、

  「絵がヘタすぎる」

  「話がベタすぎる」 

  だから読む気がしなくなった

のだそうです。

まあこのへんは勉強しない言いわけのような気もしますが(笑)、そう言われるとどんなマンガなのか気になります。

そこで私はこの本を借りて、パラッと見てみました。



まずこれが問題視する絵柄に関しては・・・

表紙を見て頂いてもわかると思いますが、


確かに ちょっとアレ ですね

よく言えば素朴なテイスト。悪く言うと、ちょっと素人っぽい印象が正直あります。

なんでもこの本は、「東大まんがくらぶ」所属の東大生の作者が、ストーリーや物理の解説の部分から作画まで、基本的にすべて一人で書いたもののようなんです。

そこまでやってしまうとは、素直に感激してしまいますが、正直な話、絵は専門の人に任せたほうがよかったんじゃないかな?^^;



そしてもう1つの問題点、ベタ過ぎるというストーリーのほうは実際どうなのか。

私はパラパラとしか読んでませんが、だいたいこんな感じでした。

(ネタバレ注意)


物語の主人公は高校生の女の子です。


彼女は、ひょんなことから物理の得意な大学生の先輩に、電磁気学を教えてもらうことになりました


難しい電磁気学をわかりやすく教えてくれる、すごい先輩。


学んでいくうち、そんな先輩への好意がつのっていき(笑)


エンディングでは、



  「先輩、教えてくれてありがとう。


  チュッ!





・・・めちゃくちゃベタだわ、これ(笑)




あまりに基本に忠実なので、思わず笑ってしまいました。

しかし、天下の東大まんがくらぶの

ストーリー創作力はこの程度なのでしょうか(こらこら)


新人くんが挫折した理由もわからんではないな、と思いました(笑)



とはいえ、繰り返しになりますが、絵から物語から勉強まで全部やってしまう作者のスキルとバイタリティーには素直に脱帽するしかないですね。

石川先生の次回策(あるのか?)に期待しましょう^^

 

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2013年2月20日 (水)

スマホのキンドルアプリで小説を読んでみた

先日の記事 で、Amazon が昨年秋に日本で発売した電子書籍端末キンドル(Kindle)に関する本を紹介しました。

そして、これまで敬遠していた電子書籍にすごく興味がわいた、ということを書きました。

こういうことは思い立ったらすぐ行動したほうがいいので、お金に余裕があればすぐ買って試してみたいところでした。

ですが、結婚式やら何やらでなにかと出費がかさみ、残念ながらいまは買えません(苦笑)



しかし、実は良い手がありました!

それは、スマホ向けにリリースされているキンドルアプリを使うということです。

先日の本の紹介でも書きましたが、Amazonの「キンドル」とは単に電子ペーパー端末の製品名ではなく、Amazonが展開するクラウド型電子ペーパーサービス全般を指す言葉でもあります。

要するに、Amazonで買った電子書籍は、キンドル専用端末(Kindle Paperwhite)を買わなくても、スマホやiPadにアプリを入れれば読めるということです。

そして先日の本の情報によると、検索、マーカー付け、コメント記入、辞書検索、などなどの基本的な機能は、専用端末でもアプリでも同様に使えるのだそうです。

私は今をときめくシャープのスマホを持っているので、実は初期投資ゼロで電子書籍を楽しめるというわけです。

(ちなみに米国ではパソコンでKindle用電子書籍を閲覧するアプリがあるようですが、日本ではこれがリリースされていません。権利関係の問題だと思いますが、そうなるとスマホを使うしかないですね)

よし、それじゃあさっそく! ということで、スマホでKindleの電子書籍を試してみることにしました。



しかし、これがとーーっても大変でした・・・。

まず、Kindleのアプリをインストールして立ち上げると(画面は英語・・・)、Amazonのアカウント入力を求められました。そこに日本のAmazon.co.jpのアカウントを入れると、ログインできなかったんです。

どうやら、アプリではアメリカのAmazon.comのアカウントが必要なようなのです。

あれ? でもこの間の本にはキンドルはすべて日本語でできると書いてあったのに・・・。

どうやら、キンドル専用端末 Kindle Paperwhite ではすべて日本向けのローカライズがされているけれど、スマホ用アプリは現時点では米国Amazon.com対応の英語仕様のものだけのようなのです。

(本当はスマホ用アプリも日本語対応しているかもしれませんが、少なくとも私がさんざんネットを調べたり、スマホでいろいろいじってみても、ダメでした)



そこで、とりあえず米国のAmazon.comのアカウント(一応、持っていた)でログイン。すると、アプリ上でAmazon.comの電子書籍を購入する画面に移動しました。

ただ、当然ながら米国のAmazon.comでは日本の書籍を売っていない。さあ、どうすれば日本のAmazon.co.jpで買い物ができるのか。

アプリから日本のアマゾンにアクセスする方法がわからなかったので、仕方なくパソコンで Amazon.co.jp にアクセス。そこでKindleの電子書籍を選んで購入しようとしたところ、今度は「あなたのアカウントにはKindleの端末が登録されていません」 というようなエラーが出ました。

どうやら、AmazonのアカウントにKindleの端末情報を登録する必要があるのですが、いまの状態ではAmazon.comのアカウントのほうに携帯の情報が紐づいており、日本のアマゾンのほうには登録されていないようなのです。

おいアマゾン! なんだこの不便な仕様は。米国と日本で仲違いでもしてるのか?^^;

いろいろ調べてみると、どうやら Amazon.com と Amazon.co.jp のアカウント統合なる操作ができることを発見。これをやると、米国と日本のアカウントで同じ端末情報を共有し、好きな国のショップを選択して電子書籍を購入できるようになることがわかりました。もちろん、どちらのショップで買った電子書籍も、同じ端末で共有されます。



そこでアカウント統合を実行! ひいふう・・・。ようやくパソコンから日本のアマゾン経由でKindle本(電子書籍)を買えるようになりました。

さっそくいろいろ検索してみました。噂に聞いて覚悟はしていましたが、まだ電子書籍になっているものって本当に少ないですね。そんな中、私が一番好きな小説家、宮本輝の作品が多数電子書籍化されていたので、うち一冊をテスト購入しました。

さあ、今度こそスマホのアプリで本を読もう・・・と思ってやってみると、なぜか読めない! 英語で「この本を読むにはアップデートが必要です」というメッセージが出てきました。

しかしKindleアプリは最新版になっています。何度か方法を変えてインストールと設定をやり直してみましたが、どうしても同じエラーが出ます。

・・・お手上げです。

こんな感じで、比較的辛抱強い私もかなりイライラしてしまいました^^; ちょっと手数かかりすぎだろ、これ。

これならまだ、当初から日本語でサービスしている 楽天のkobo とか、紀伊国屋書店の kinoppy とかのほうがすんなりいくことでしょう。ガッカリです。



しかしこのままでは終われぬということで、英語の電子書籍にトライしてみることにしました。きっとアプリは日本語対応が不完全なので、英語ならいけるだろうという推測です。

そこで、こんな電子書籍を購入。



『Dragonlance Chronicles - Dragons of Autumn Twilight』
Margaret Weis, Tracy Hickman
Wizards of the coast




これは30年近く前に出たファンタジー小説で、『ドラゴンランス戦記』『ドラゴンランス』の名前で邦訳も出ています。

単なるジュニア向けファンタジーの枠を越えた、大迫力、大感動の超オススメ作品なのですが、そのへんの話はまたの機会に(笑)



で、この本は無事キンドルアプリで開くことができました。よかった!

さっそく読んでみたんですが、キンドルの機能、かなり気に入りました。

まず、わからない単語が出てきたら、そこをタップ(クリック)したまま長押しすると、すぐさま英英辞典の解説が出てきます(専用端末 Kindle Paperwhite だと、英和辞典なども自在にインストールして使えるようです)

動詞の過去形、過去分詞系やing形、名刺の複数形など、単語が原形以外にかたちを変えていても、キッチリ対応する単語を拾い上げてくれます。

辞書を引く時間がほんの一瞬(2~3秒)で済むし、本を開いたまま辞書をめくるわずらわしさも皆無。

しかも、本文中でわからない単語にマークをつけられるので、その後でマークした箇所だけ一覧表示してやると、それだけで マイ・単語帳の完成です。

言葉でいうと「なんだ、それだけのことか」と思われるかもしれませんが、百聞は一見にしかずで、実際に試してみるとこの快適さはやみつきになります。洋書を読む敷居が一気に下がった印象です。

先日紹介した例のKindle本でも、外国語学習にこそKindleと書いてありましたが、なるほど納得です。

(おそらくこのへんの機能はKindleじゃなくてもあるんじゃないかと思いますけどね)


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というわけで、まだ洋書しか読めていませんが、電子書籍への期待がなお一層高まってきました。

近いうちに、Kindle Paperwhiteを買って、宮本輝の小説をぜひ読んでみたいと思います。

しかし、こんなにナイスな電子書籍ですが、サービス間の互換性の無さだけは早い段階でなんとかならないもんでしょうか。

音楽の世界では、DRMフリーの楽曲のダウンロード販売がすっかり標準化して、Amazonで買ったmp3のファイルをiPodで聴くようなことが問題なくできます。

しかし電子書籍は現状これが全くできないし、できるようになるメドも見えません。

私はやはり一度買った本はいつでも読めるようにしておきたいので、Amazonが事業を撤退するリスクだけは、やっぱり怖くて仕方ないのです。

万一そうなった場合、買った電子書籍はKindle以外のサービスでは原則として読めないので、すべて紙クズ、いや電子クズになります。

いや、Amazonの場合、サーバーでファイル本体を管理しているクラウド型サービスなので、電子クズどころかなに一つ残らないですね。

頭の中の知識と感動だけが残る、といったところでしょうか
(↑無理にうまいこと言おうとすんな。笑)

Amazonほどの圧倒的な強さを誇る企業でも、ひとたび大きな不祥事でもあればアッサリ倒産する可能性があるのが、いまの世の中です。



業界の方、

サービス間での最低限の互換性の確保を、

本当になんとかしてください!

そしたらもっと大量に電子書籍を買いますから! ^^;

 

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2013年2月19日 (火)

受験参考書スタイルの大学数学教科書の秀作 『マセマのキャンパス・ゼミシリーズ』

ひょんなことから、大学時代に数学の授業で習った偏微分方程式を仕事で使う必要が出てきたため、本屋でそれに関する専門書を買ってきました。

私が大学生のころは、数学や物理の教科書といえば、まじめにガッチリと書かれた、いかにも学術書というおもむきの本ばかりだったように思います。

ですがここ10年くらいの間に、「これは大学受験の参考書か?」と思うような、親しみやすくてわかりやすそうな教科書が増えてきました。

私は性格的に、質実剛健な昔ながらの教科書のほうが好みです。

だけど、忙しい仕事と 家事と ブログ執筆(これは必須じゃないのだが。笑)の合間をぬって読むのには、「いま風」の親切丁寧でわかりやすい本がいいだろうと思って、選んだ本がこちらです:



『スバラシク実力がつく!
  キャンパスゼミ・偏微分方程式』
著者: 馬場敬之、久池井茂
出版: マセマ出版社
初版: 2009年10月26日




この本は、数学や物理のテーマ別にたくさん出ているシリーズ中の1冊です。

見た目からして受験参考書っぽいですよね。

中身も「例題・回答」「例題・回答」・・・という感じで、問題演習重視のスタイルなのが受験っぽい。

式変形の過程もこれでもかと細かく書いてあって、自分で紙に書いて計算しなくてもスルリと読めてしまいます。

イラストはほとんど無いのですが、わかりやすいです。

しかも、帯にはAKB48の柏木由紀似の黒髪のかわいい女の子の写真付き(笑)

これは、入試の勉強スタイルに慣れた大学生にはうってつけの本でしょう (あと AKB好きの人 にも。笑)

ただ、わかりやすいけれども内容は落とさずに、高度なところまでキッチリ書いてあります。ちゃんと読めば、単位取得も大学院入試も楽勝なんじゃないでしょうか。本当によくでてきます。

典型的な問題を解けるようになることに目的を絞るのであれば、ベストの参考書と言ってもいいんじゃないかと思いました。

 

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2013年2月14日 (木)

電子書籍に踏み出せないあなたに・・・ 『kindle 新・読書術』 by 武井一巳

私ははっきり言って本マニアです。

本をどんどん買ううえに、一度買った本には愛着があって捨てられません。

その結果、家には蔵書が増えるばかりで、このままのペースで数年たったら、狭い我が家には収まりきらなくなりそうです。

あるいは、うちはチャチな作りのアパートなので、床が抜けるのが先かもしれません(笑)

そんな私は、電子書籍にたいへん興味がありました。一番の理由は、なんといっても本を置くスペースがなくてすむからです。また、新しいものはとりあえず試したいというミーハー根性の持ち主なので。

それでも今だに電子書籍に手を出していない一番の理由は何かというと、いま現在、いろいろなファイル形式があってどれが主流になるかわからないためです。

だって、せっかくお金を出して本を買っても、ファイル形式が廃れたら将来読めなくなるリスクがあるわけですよね。

本を所有することに喜びを感じる私には、このリスクはなかなか許容しがたいものがあります。

そんなこんなで、電子書籍のニュースを見ながら迷っている私ですが、今回たいへん気になる本を見つけたので、読んでみました:


『Kindle 新 読書術』
著者: 武井一巳
出版: 翔泳社
初版: 2013年1月24日




この本は、書籍通販で世界最王手の米アマゾン社が出している電子書籍端末「Kindle(キンドル)」を用いた、新しいタイプの読書の魅力を解いた一冊です。

Kindle固有の機能をどう使うかという解説が多く書かれていますが、この本の主眼はそこではなく、むしろKindle(または電子書籍一般)を試す踏ん切りがつかない人に、何がそんなに面白いかを説明してくれる点にあると思います。



私は今まで、「Kindleは、単にデジタルファイルの書籍を表示する端末」というイメージしかありませんでしたが、この本を読んでその認識が甘かったことを痛感しました。

はっきり言って、Kindleがめちゃくちゃ欲しくなってしまいました(笑) なるほどと思ったことを以下で紹介します

(Kindleを使ったことがない私が、また聞きで書いていますので、正確でない記述があるかもしれませんが、あしからず・・・)


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著者の武井氏は、「キンドルは単なる電子ブックリーダーではなく、最初から電子書籍のためのプラットフォームそのものだった」 「アマゾンというクラウドを利用するための端末である」 と書いています。

どういうことか?

Amazonのサイトでは、Kindleで読める書籍のデジタルデータが販売されていますが、重要なのは、購入した書籍の情報はAmazonのサーバーで統合管理されているということです。

この結果、一度購入した本は、Kindleの端末だけでなく、パソコン、iPad、iPhone、アンドロイド携帯(無料アプリを入れる必要がありますが)など、およそあらゆるデジタルデバイス上で自在に読むことができるようになります。

家でパソコンまたはKindleで読んだ本の続きを、出先でスマホで読む、なんていうことも自由自在にできます。

購入履歴はサーバーが管理しているので、手元の端末から書籍のデータファイルを削除しても、何度でもAmazonのページからダウンロードし直すことができます。

つまり、物としての本を置くスペースが不要になるのは当然ですが、そもそもデータ自体を常に手元に整えておく必要がなく、必要なときに必要なだけサーバーからダウンロードして読むというかたちで、「書棚のアウトソーシング」が可能になります。

ただ、これだけならまだ大したメリットではないのですが、Kindleがすごいのは、それらの個々のデバイス間で、各種データの同期を取ることができる点です。

Kindleの電子書籍の中には、マーカーをつけたり、ブックマーク(付箋)をつけたり、メモを書きこんだりすることができます。また、好きなところで本を閉じて読書を中断することができます。

これらの情報(マーカー、メモ、中断ページ、etc.)はすべて、Amazonが管理するサーバーのの中にストックされ、すべての端末で共通に参照されるようになります(ネットワーク接続が必要ですが)。

だから、Kindleで特定の書籍を読んで途中で閉じ、続きをスマホで読むという場合、その本を開くとKindleで閉じたページから読書を再開することができます。マーカーやメモなどの情報もことごとく共有されます。

電子書籍にマーカーをつけた場合、その部分だけを一覧表示することができます。私は本を読む時に気に入った場所に付箋をはりまくり、後日Wordにその箇所を手で書き写して要約した読書メモを作っています。しかしこれは大変な手間がかかります。

しかしKindleを使えば、この手間がまったくいらなくなります。ただ単に電子書籍を開いて、マーカーのみ表示してやる。これだけで、私だけの読書メモが簡単に見られるのです。これは私にとってかなり強烈な魅力です。

さらに、ある本を購入した世界中の読者の中で、どの箇所にマーカーをつけた人が何人いるかという情報を見ることもできます。

だから、自分が読んだ本に対して、他人はどこに興味を持っているのかなどを知ることができます。

また、誰かしらがマーカーをつけた部分だけ拾い読みすると、それだけで本の要点をつかめる可能性があります。

これなどは、まさにKindleがクラウドサービスを基本思想としているからこそ実現できた機能と言えるでしょう。

Kindleの機能の多くは楽天のCoboなどの他社端末にも存在すると思いますが、こうしたクラウドを利用した魅力という点では、Kindleがリードしているのが現状のようです。


そのほかにいいなと思ったのは、文中にわからない言葉があった場合、国語辞典や英和辞典を起動してその場で単語の意味を調べることができることです。

だから、外国語の本を読む場合にこそ、Kindleが威力を発揮すると著者はいいます。

いままでKindleをはじめとする電子書籍がどんなものか、全くわかっていませんでしたが、思っていた以上に魅力的だなと思いました。


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というわけで、この本では著者がKindleの魅力をアツく語り倒しているのですが、従来の書籍と比べたデメリットや注意点についても、きちんと冷静に記述してくれています。

ページをめくる手触りが得られないこと、あちこちページをめくって見比べたり、複数の本を並べて見ることが難しいこと、またKindle端末は小さめなのでマンガや図表の多い書籍は見にくいこと、現時点では品ぞろえが少ないこと(これは時が解決するでしょうが)、などなど。

また、リアル書店にある、思いがけない本との出会いや、書店員さんのこだわりが楽しめるといったメリットが、電子書籍ストアでは得にくいという点もあげています。



それから、ちょっと面白いと思ったのは、電子端末ではフォントサイズなど、本の表示設定をユーザーが自由に設定できるということ。

このため、リアル書籍の「ページ」の概念が事実上存在しなくなるというのです。(ここが単にpdf形式のファイルを閲覧する場合と、テキストベースの電子書籍を読む場合との大きな違いです)

これまで書籍の著者や編集者は、その本の内容や出版社の意図などに応じて、フォントサイズやレイアウトをこだわりをもって決めていたそうです。

しかしそうした「見た目の指定」が電子書籍では意味を持たなくなるということになります。これは従来の本の魅力をある点で大きく損なう面がありそうです。


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ところで、私が電子書籍に踏み切れない一番の理由、つまり支配的なファイル形式が何になるかわからないという点に関しては、なんとも見通しが立たないのが現状のようです。

いま、電子書籍のファイル書式としては、epubという形式が一般的になりつつあります。

ただこのepub、著作権管理のためのロック(DRM)がかけられるのが一般的ですが、なんと同じepub形式のファイルでも、異なる電子書籍端末用のファイルには異なるロックがかかっているらしいのです。

「それじゃあ、ファイル書式が統一されたことにならないじゃん!」 と思ってしまいますが、tつまり現状では、異なる電子書籍リーダーでは基本的にファイルに互換性がない状態のようです。

いまのところ、各電子書籍リーダーが顧客の囲い込みをしようとテリトリー争いをしているようで、特定の書籍は特定のリーダーでしか読めないという状況がしばらく続きそうです。

だから、Kindle用の電子書籍ファイル(epubではなくmobiという独自形式を採用)をたくさん購入しても、Amazonが倒産したり、電子書籍から撤退したりしたら、購入した本がすべてオジャンになるという可能性が、残念ながら回避できないリスクとしてつきまとうようです。うーむ。

しかし・・・

今回この本を読んで、電子書籍にはそれをはるかに上回るメリットがあるなと感じました

それに、Amazonのような大手が破産するということは、現状ではまず想像できないことですし^^

というわけで、私は多分近いうちに、重い腰をあげて電子書籍リーダー(多分Kindle...)を買うことになると思います。

電子書籍に関心のある方は、こうした本なども参考にして、ここらでひとつマジメに検討してみるのもいいかもしれませんよ。



P.S.

著者が指摘するように、電子書籍・オンラインストアと、リアル書籍・リアル書店は、二者択一ではなくてそれぞれ使い分けるべきものなのでしょうね。

私の印象では、絵柄の多い本、辞書的に使用する本、理学書などは、リアル書籍に勝るものはないと思います。

ただ、小説だとか、文章のみの本は、今後はどんどん電子書籍で読んだらいいんじゃないかと思っています。(まだ試してないやつが言うな、っていう感じですが^^)

 

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2013年2月 7日 (木)

ガンバレ家電メーカー! 『日の丸家電の命運』 by 真壁昭夫

ここ数年、日本の家電メーカーや半導体メーカーが苦境におちいっています。

たびたび書いていますが、私は家電メーカーではないものの電気系のエンジニアなので、今後の家電・半導体業界の行く末はとても気にしています。

いまの家電業界の状況を解説(または批判^^)した本は、既にいくつも出版されていますが、私はこれまでそういった本を読んだことがありませんでした。

今回、名古屋へ出張したときに立ち寄った本屋でこんな本を見つけたので、新幹線の車内のお供にと思って買ってみました:



『日の丸家電の命運』 パナソニック、ソニー、シャープは再生するか
著者: 真壁昭夫
出版: 小学館101新書
初版: 2013年2月6日




この本、帯に作家の村上龍氏の推薦文がでかでかと載っています。


  『家電の失速』は、何を象徴し、何を示唆しているのか。

  本書は、そのすべてを解明する。



ずいぶん大げさな言い方ですね。

そんなにハードル上げちゃって大丈夫でしょうか(笑)



この本は、日本の家電メーカー、特に一般消費者向けの製品を多数出している、パナソニック、ソニー、シャープの苦境の原因と、それを乗り越える手掛かりを解説したものです。

著者の真壁氏は、金融機関の研究員や大学教授として経済分析を行なってきた、経済学の専門家です。

業界のことをあまり知らない一般の方でもわかりやすく書かれており(というか、そういう方向けの本だと思います)、「家電が大変だとか言うけど、なんで?」 という方には最高のガイドになると思います。

家電メーカー、総合電機メーカーを志望する就職活動中の学生さんにも、読みやすくてとても役立つんじゃないかと思います。



ただ、電気系の業界の動向を当事者としてそれなりにウォッチしてきた私にとって、この本は若干物足りなかったです。(帯を見て期待し過ぎたのかもしれませんが。笑)

最初の3分の2くらいは、日経新聞の内容を手際良くまとめたようなものという印象で、「新しい情報や独自の提言・分析を、もっと聞かせてほしかった!」 というのが正直な感想です。

そういうわけで、個人的にはちょっぴり期待外れな一冊でした。ただ、最後の2章は、各メーカーの反撃に向けた取り組みが書かれていて、私も知らない内容もいろいろ含まれており、面白かったです。



真壁氏は、家電メーカーの今日の苦境の原因は、ひと言でいえば経営判断のまずさだと言います。

ここ20年くらいで、特に先進国市場においては、作っただけで物が売れるという状況は完全に終わりを告げました。

性能がいいものを作れば売れるという時代から、消費者が喜ぶ独自の価値やコンセプトを提供しなければ、売れない(低価格競争に巻き込まれてジリ貧の)時代になったのです。

また、技術の陳腐化が急速に進み、低価格を武器にした韓国・台湾・中国のメーカーがあっという間に追いついてきました。

本書で取り上げられた家電メーカー3社は、そうした市場環境の変化を経営側が見誤ったうえに、過去の成功経験や前任者の意向にしばられて対策を取り遅れ、たいへんな痛手を負いました。

さて、大事なのは将来に向けてどうするか。

真壁氏が示す処方せんは、こうです。



  日本の企業は今でも高い技術を持っており、さらにアジアなどで

  日本製品への信頼感も依然として高い。

  それを有効に活かすために、経営者は自社の真の強みを活かした

  戦略 (何でもやる、はやってるからやる、はダメ!) を明確に

  打ち出すべきである。

  そうすれば日本の家電メーカーは必ず再生できるはずだ・・・。



なるほど。

これだといかにも評論家らしい一般論という印象で、もうちょっと踏み込んで欲しいなあと私は感じてしまいましたが、ともかく正論ではあります。

私自身の仕事も、家電ではないにせよ同じ電気系で、やはり他社との競争が激化してきています。家電メーカーの苦闘は、まったく人ごとではありません。

そろそろ年度末ということで、ちょうど4月からの仕事の作戦を考えているところです。

「この機会に自分の強みをよく考え直して、今後のポジショニングを考え抜かないといかんな」 と危機感を新たにさせられました。

 

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2013年1月30日 (水)

運転術のキホンがしっかりわかる! 『決定版・徳大寺有恒のクルマ運転術』

先日書いたとおり、いままで車を持ってこなかった完全ペーパードライバーの私ですが、このたび車を譲って頂くことになりました。

そこで、さっそくこんな本を読んでみました。



『決定版・徳大寺有恒のクルマ運転術』
著者: 徳大寺有恒
出版: 草思社
初版: 2005年10月7日





この本を奥さんに見せたら、 「あなたは何でも本から入るのね」 と突っ込まれました。

実践をおろそかにする気は全く無いけれど、私は本マニアなので、気になるテーマの本はどうしても読まずにいられないのです(笑)



さて、この本の著者である徳大寺有恒氏は、かつて日本グランプリにも出場した元レーサーです。

現在も自動車ジャーナリストとして、運転術や車の選び方に関する執筆活動を続けている、自動車の達人です。

この本の表紙を見ると、著者の写真がまず目にとまります。

まるで勝新太郎のような迫力のある表情の写真! しかもお名前からしてずいぶん重厚な響きです・・・。

第一印象は、正直、怖そうな人だなというものでした^^;

私は勝手にこんなふうに想像していました。



  「この本には、きっと 峠の攻め方 ドリフトの仕方

   警察の振り切り方(笑)などが書いてあるのかな」



ところが、本の内容は全く違いました。

まえがきに、こんなふうに書かれています。



  「より多くの人に知ってもらいたいのは、思慮深くドライブすれば、
   危険は大いに軽減し、さらに運転そのものが楽しくなる

   いうことである。
   それはいわゆる『ドラテク』(高度な運転テクニック)とは
   関係がない

  「運転のうまい、下手は、この「考える」ことにかかっている。
   もし、あなたが自分の運転が下手だと思うなら、それは考えて
   ドライブ
していないからだ」

  「大事なのは、事故を起こさず、巻き込まれず、スムーズに
   楽しいドライブをおこなうことだ」  



著者は車の性能を極限まで引き出す、高度な運転テクニックを持っています。

しかし普段のドライブではそれを封印し、頭を使って安全に、快適に、楽しく運転することを実践しているそうです。

そして、頭を使ってスムーズに運転するということこそが、運転の楽しみだと言います。

徳大寺氏が説く運転術は、奇をてらわない、とてもオーソドックスなものだと思います。

でも、初心者が不安に思う点やうっかり見落としがちなポイントを、これでもかとばかりに丁寧に取り上げています。普通のドライバーが、すぐにでも実践できるような事柄ばかりです。

運転に自信のないペーパードライバーには、まさにうってつけの一冊なんじゃないでしょうか。私もこの一冊を読んだだけで、運転できそうだという自信がついてきました(我ながら、影響されやすい奴・・・ ^^;)



ちなみに私が特に面白いと思ったのは、「運転は他車(や歩行者)とのコミュニケーションである」 というくだりです。

事故に遭うのは、往々にして相手の意図(歩行者が横断しようとしている、前の車が右折しようとしている、etc.)を察することができていないから。

そして、自分の意図を的確に伝えていなかったり(いきなり車線変更するとか、曲がると見せかけてやめるとか)するから。

このように、少しアタマと注意力を使って、コミュニケーションを適切に行うことで、事故はほとんど防げると言います。

この本にいいところは、個別の具体的な運転方法(駐車、山道、高速道路、・・・)だけでなく、安全運転に関する基本的な考え方やマインドについて、しっかり書かれていることです。

先を読み、事実をきちんと確認し、相手の意図を読んでこちらの意図をはっきり伝えることが大事・・・ということですが、これはもはや人生そのものに関する教訓という感じですね。うーん、運転っていうのは深いです(笑)



というわけで、自分の運転技術を見なおしたいという方には、自信をもっておススメしたい一冊です。

 

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2013年1月28日 (月)

『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』 by 内藤みか

私は Facebook と Twitter をやってますけど、どうやって使ったら楽しく有効に使えるか、いまだによくわかりません(苦笑)

たまたま立ち寄った本屋でこの本を見かけて、つい買ってしまいました。かなり最近出た本です:


『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』
著者: 内藤みか
出版: 技術評論社
初版: 2013年2月1日

著者の内藤みかさんは、ケータイ小説をはじめとして80冊以上もの著作がある作家さんです。自称「イケメン評論家」 (なんだそれ^^) でもあるそうです。

この本は機能を網羅して説明するものではなく、初心者が見落としがちな点、不安になりがちな点、陥りがちなワナに絞って丁寧にとりあげた、著者の顔が見える本になっています。

Facebook か Twitterの片方だけを取り上げた本や、細かな操作法について解説した本は、他にたくさん出ています。

でも、Facebook と Twitter の両方について、操作法というより活用のコツについて解説した本はあまり見かけません。その点、なかなかユニークな本だと思います。

本のタイトルにある 「誰も教えてくれない」 は言い過ぎ だと思いますが(笑)、それでも 私が知らなかった機能や使い方などがいくつか書いてあり、参考になりました。

少しだけ例をあげてみます:


  ・食べ物の情報は反応がいい
   (私、食べ物のこと全く書いてなかったわ。笑)

  ・SNSに登録したプロフィールをもとに名刺を作れる

  ・全くのひとりごと(眠いとか)、他人のプライベートな情報は避ける。 
   多くの人に伝えたいことを書こう。

  ・自己紹介は書き過ぎないほうがいい。
   趣味を書くにもある程度特定したほうが、「あの人は○○の人だ」
   という感じで印象に残る。

  ・家族をほめるコメントはとても喜ばれる。
   (よくわかります^^)

  ・コメントやフォローや「いいね!」がほしいなら、まず自分から
   どんどんしてみること。

  ・製品の宣伝にSNSを使うとき、商品のでっかい画像や、自分が
   商品を持ってる写真は好まれない。そういうときは、本の読者、
   製品のユーザーが笑顔で本・製品をもっている写真を使わせて
   もらうといい

  ・肖像権や著作権の侵害を防ぐため、有名人の顔写真を載せたい
   ときは、当人の顔がアップになった本などのアフィリエイト画像を
   使うのも手。(なるほど)

 ・SNSは親密性、親近感がポイント。だから顧客獲得をダイレクト
   に狙うより、認知度アップをめざして使ったほうがいい。



続きは本でご覧くださいという感じなのですが^^   最後に、印象に残ったことをもう1つだけ。

Twitter や Facebook では、スマートホンのGPS機能と連動して、位置情報を添えて書き込みをできる機能があります。

この機能は、他人に具体的な場所を簡単に伝えられるとか、出先で思いがけない出会いが期待できるなど、便利で楽しい面ものですが、同時に危険な機能であるということが、この本で何か所かに書かれています。

私はこうした機能を使ったことがないのですが、「なるほど、気をつけなきゃな」と強く思いました。

たとえば、お店からコメントを付けているということは、その人が留守しているということを意味します。実際、書き込みを見て留守を知って空き巣に入るという犯罪があったのだそうです (犯人が家の場所を知っていないとできないことですが)

また、自宅でスマホから位置情報付きのコメントをすることで、自宅の場所が不特定多数の人にバレてしまうとか、店舗名まで具体的に指定するとよからぬ人やストーカーがやってくる危険性もあるとか・・・。

SNSは親密性の衣をまとっていますが、基本的には公開情報をやりとりするもの。プライベートな情報の開示には、よくよく注意したほうがいいのでしょうね。

(こういった内容は、ここで紹介した本 にも書いてありました)


というわけで、SNSに詳しい方にとっては必要ない本かもしれませんが、始めてはみたけれど「迷える子羊」状態だという人にとっては、面白い本じゃないかと思いますよ。

 

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